なぜ音楽オタクをこじらせるとジャズに行き着いてしまうのか
音楽オタクはジャズが好きだ
もうイメージですらない。断定できる。いるだろ、なんか色々聴いてたけど今はジャズが好きですって言ってるおっさん。通称ジャズおじさん。
なぜか音楽オタクを拗らせるとジャズに行き着いてしまう。ほとんど業だ。このブログを読んでる時点で未来は決まってるからな。なんなら前前前世から決まってる。諦めよう。君の未来はジャズおじさんだ。アンパンマンは君さなんて信じるな。
しかしどうしてこうもジャズにハマるのか。不思議で仕方ない。ということで既にジャズにハマってしまっている管理人が原因を分析してみた。
他のジャンルではダメなのか
他のジャンルではなぜダメなのか。それについてまず説明しよう。
先に明示しよう。クラシックに行き着くパターンはある。ごめん、実はジャズだけじゃなくてクラシックもある。けどそのパターンは昔からピアノやってましたとかのパターンが多い。なんだかんだクラシックの教養はありましたってことだ。三つ子の魂百までってやつ。このパターンはそれ以外に説明のしようがない。以上終了である。
さて、では気を取り直して他のジャンルについて検討しよう。
流行のポップスやロックというのはやはり最新で面白い。今まで聴いたことのないものだったり、そもそも世界がひとりのアーティストに夢中になってみんなで盛り上がれるのは非常に楽しい。ただ、やっぱり似たようなのが増えるのだ。
こういうのはファッションで例えると分かりやすい。最近の男性が何を履いてるか分かるだろうか。黒のスキニージーンズだ。ほぼ一択。これ履いとけばおしゃれに見える。気付いてないなら新宿でも出かけて足元みれば分かる。黒スキニーの展示会みたいになってる。最近の男のタンスの中は真っ黒なんじゃないか。
流行のポップスというのはそうして判を押したかのような状態になってることが多い。人によって個性はあるのだが、服が似てるから同じ印象になってしまうのだ。でもまあ仕方ない。売れるもん黒スキニー。そして売れるのが正義なのがポップスである。
ちなみに、ロックもそうだ。もともと大衆人気を得やすいからポップス並に流行に敏感だ。だから時代に分けてロックを語ることが多いのだ。
ではブルースやカントリーはどうか。これも行き着く先の候補になり得る。ギタリストが一度は通ってることでもお馴染みだ。しかし、ここに骨を埋める人は少ない。
原因は展開力の無さだ。ブルースなんて分かりやすい。ブルースはブルースのコード進行を守らないとロックになってしまう。というかそうしてできたのがロックだ。だからブルースをやろうと思ったらガチガチのコード進行を守る必要がある。これを外れるとブルースじゃねえって言われてしまう。
黒スキニーどころの話ではない。スーツである。そしてスーツというのはスーツ以外のパーツが入ったら即スーツではなくなる。絶対に靴は革靴でないとダメなのだ。そしてスーツとして着るならやっぱりネクタイをビシっと締めるのがかっこいいよね、という風潮もある。結局ブルースはそうしてずっとスーツを着ているからどうしたって真新しさに欠けるのだ。
分かりやすいからブルースを例に出したけどカントリー、お前も一緒だぞ。定型のコード進行はそれほどないけど、お前はカントリーのリックを弾いてカントリーのリズムを入れないとカントリーにならないだろ。
選ばれたのは、ジャズでした。
ではなぜジャズなのか。理由は至極単純で、ジャズはジャズって言えばジャズになるからだ。嘘みたいな話だが事実だ。もちろんジャズらしいコードだとかジャズらしい進行だとかあるが自由度が比じゃない。それを取り入れればもちろんジャズになるのだが、入れなくてもジャズだって言われたらジャズになるところがある。ブルースやカントリーに比べて圧倒的に型枠が大きいのだ。
これは帝王Miles Davisの影響だろう。マイルスが色々やりすぎたのである。そのわりに出身がジャズだから全部ジャズになってしまった。今聞いたらこれファンクだろとか細分化できそうなもんだが、ジャズなのだ。でも、そのおかげでジャズは本当に自由な音楽に育った。
かつ、ジャズにはアドリブソロの文化がある。コード進行に則って自分を表現する場なのだが、これがあるせいでジャズアーティストはべらぼうに上手い。例外なく上手い。ただテクニックが上手いというだけでなく、知識がないとできないから頭も良い。コードに則ったアドリブソロってめちゃくちゃ難しいのだが、当然全員ができる。色々聴いてきた音楽オタクも満足する技術が目白押しである。やはり上手い演奏というのは楽しいし飽きが来ない。
ジャズは難しいという意見がある。そして一理ある。リズム感が違いすぎてわからんなんてのはよくある話だ。おかげでクラシック育ちの人が弾こうとしてブチ切れるなんて話もある。なんでよく分からない長いソロを聞かされなきゃいけないんだ。声とか入ってないし。ソロの途中で急に歓声があがるのとか意味が分からん。くらいの文句はよくある。
全て事実だ。結局ジャズを聴くのに多少の慣れは必要だ。でも慣れるとトランペットってこんな音がなるのかとか、サックスをこの速さで吹くのって物凄い事なのではとか、鍵盤殴ってるだけなのにかっこいいぞとか、そういうのを感じるようになる。慣れてないと水準が高すぎて分からないのだ。だから音楽オタクが行き着くのである。色々聴いた結果、これは凄いことが起きてると気付いた人がハマるのだ。
Robert Glasper - So Beautiful (Live At Capitol Studios)
同じ穴のムジナになってくれ
もちろん、全て管理人の主観だ。偏見とも言う。
でもジャズっていうのを難しそうというだけで敬遠するのはもったいない。少しの認識の変化で本当に面白いジャンルになる。そのためのガイドがここでできるようになりたかったりはする。
そして、今こうしてこの記事をここまで読んでる時点であなたにはだいぶ音楽オタクの素質がある。まずはこのブログで紹介したアルバムから、試しに聴いてみてはいかがだろうか。そしてそのままズルズルとこちら側に来てくれたら…管理人としては満足である。