CD Essay

好きなアルバムを1枚取り上げて語れるだけ語るブログ

Chonが『Homey』でちょっと大人になってて素敵

Homey

 

待ちわびた新譜

Homey by Chon on Spotify

いやほんと素晴らしい。やばい。2017年の台風の目になりうると思う。

4人組インストマスロックバンド、Chon(チョンorチョーン)の新譜『Homey』が本当に良い。マスロック界隈、及びギタリスト界隈で密かに流行っていたけど、今作は本当に質が高い。管理人はギターが多少弾けるのだが最近はこればっかりコピーしようとしてる。ちなみに5秒で無理。

今回はそんな新譜『Homey』の話をしよう。

 


CHON - Sleepy Tea (Guitar Playthrough)

管理人がギター片手に聴いている曲(弾いているとは言ってない)

 

前作は約束された名盤、今作で真価を発揮している

Chon (band) - Wikipedia(英語版)

Mario Camarena – guitar (2008–present)

Nathan Camarena – drums, percussion (2008–present)

Erick Hansel – guitar, (2008–present); vocals (2016-present)

Esiah Camarena – bass guitar, vocals (2008-2010; 2016–present)

 

Chonインストマスロックバンドだ。 歌モノもたまにあるが、毎回ボーカルはゲストだ。ちなみに、歌モノの曲いらなくねって意見もあるが海外だと思ったより歌モノも人気らしいよ。

さて、メンバーの名前をよーく見て欲しい。Mario、Nathan、Esiah。全員がCamarena姓である。要するに兄弟。違うのは相方のギターだけ。どんな家族だよ。ちなみに、ベースのEsiahは一回辞めて2016年に戻ってきた。だから1st『Grow』のベーシストはDrew Pelisekって人。このバンドはギターとドラムが異様に目立つけどベースもちゃんと仕事してるから聴いてあげてね。

そう、前作『Grow』も最高だった

ただ前作はどちらかと言うとメジャーデビューに焦点が当たっていた。『Grow』はインディーズ時代の曲をメジャーで再録した曲と新曲を混ぜた構成だ。彼らのこれまでの軌跡を辿りつつ、お金の掛かった録音になってる。インディーズ時代の名曲が更に洗練されている上に新曲も最高だったので文句なしの名盤なのだが。

今作が完全新作になるというわけだ。

ちなみにメジャーでの所属はスメリアンレコード(Sumerian Rechords)だ。かのアニマルズ・アズ・リーダーズ(Animals As Leaders)とかアスキング・アレクサンドリア(Asking Alexandria)とかペリフェリー(Periphery)とかがいる。平たい話、ガッチガチのメタル軍団。テクい。基本入れ墨してて怖い。だいたい筋肉で解決してそう。

 

そんなスメリアンだが、Chonがやってるのはマスロック(Math Rock)だ。数学ロック

日本だとtoeとかザゼン(Zazen Boyz)とか。People in the boxもかな。tricotも近い。広く見るとバンアパ(the band apart)とかも入ってくる。特徴は上手い。バカみたいに上手い。

数学ロックという名前の通り、理詰めで曲を作っているかのような曲調が特徴だ。2本のギターで意図的にテンションコードを作り出し不思議な和音感を作る。またアルペジオで和音を組み立てる時もテンションコードにしていくことが多い。その上リズムも変拍子が多い。一体どこで拍取ってるのかわからないようなのはよくある。あと手数がやたら多い。基本的にどのパートも主張が激しい

つまり、マスロックな曲を作りたいとなるとテクニックが必要になる。

そうなると必然的にメタラー上がりが多い。高速アルペジオにレガートにスウィープにタッピング、高速フィルインポリリズム!みたいな。少年漫画の技の名前みたいだけど全部メタルと親和性の高い楽器のテクニックだ。メタラーからメタゾネを没収するとマスロックに行くって噂があるので是非お近くのメタラーで検証してください。

そんなマスロックを極限まで極めているのがChonだ

 


CHON - Waterslide (Official Music Video)

新作は全曲試聴可。素晴らし。CHON - Homey - YouTube

 

緩い変化球があるから豪速球が栄える

今作は前作と比べて落ち着いている。

明らかにテンポが遅い。あとクリーントーンが多い綺麗にまとまっている。そしてあまり曲芸的なテクニックに固執していない

こういうことを書くと「大人になっちまって…」だとか「売れると落ち着くのはクソ」とか脊髄反射で文句を言う奴が湧いてくるのだけど、今回のChonに関しては完全に問題ない。間違いなくみんなが求めているもので満たされている。

今回はメリハリが効いてる

これまでの作品は常に最強だった。どの瞬間を切り取っても誰かしらが凄技をしてる状態だった。しかし、今回はそうじゃない。明らかにゆったりしてる瞬間がある。特にドラムは顕著に違う。

ただ豪速球のストレートもゆっくりした変化球があるからより輝くというものだ。

常に無双するのではなく要所要所を抑えて曲としての完成度の高さを求めているのだ。ゆったりしたテンポやクリーントーンで抑えつつここぞという場面で凄技を繰り出す。その凄技が本当にどうしようもないほど凄いから手に負えない。どういう思考回路であんなストレッチコード弾こうと思うんだろ、物理的に無理なんだけど。

そもそもChonが上手いのはもうわかっている。常に無双する必要なんて今はない。だからこそ作品としての質を上げるために抑えるのが必要なのだ。

 

上手いのは十分わかってるから作品としての品質を上げる…?

はて?どこかで聞いたフレーズじゃないか?

そう、彼らのスメリアンの先輩、Animals As Leadersのアルバムレビューだ。

Animals As Leaders が最新作『The Madness of Many』で方向転換してるって知ってる? - CD Essay

AALもアホみたいに上手いのを周知させた後にアレンジを増やして音楽的な深さを見せている。Chonのマネジメントも方向性は完全に同じである。上手いというのを十分に周知させることができたから次のステップに行こうというわけだ。

AALほど極端な深化ではないにしても、Chonもやはり深化している

メジャーレーベルらしいやりかたではあるが、少なくとも今回は完全に当たりである。よくやったスメリアン。

 


CHON on Audiotree Live (Full Session)

 去年のライブ映像。今回のアルバムの曲は1曲もないけどあまりに良いので。

 

リゾートで夕日を眺めながら聴きたい

チルっぽさも相まってなんか海で聴きたい

っていうかPVがそんな感じだし。今までもそういう雰囲気は若干あったけど、今作は如実にリゾート感がある。これからの夏の季節に最高。夕焼けのビーチでビール飲みながらゆったり聴きたい。もう絶対最高。

ちなみに、彼らの夢のひとつは日本にライブで来ることらしい。メンバーがゲーマーらしく日本は聖地なのだそうだ。あと上原ひろみが好きらしい。

もう是非日本に来てくれ。こんなにも生で観たいバンドはそうない。

 

Homey

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  • Chon
  • ロック
  • ¥1600
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