Eric Miyashiroのライブの楽しさをTimes Squareでのライブ盤から感じて欲しい
JAZZ AUDITORIAってやっぱ良いイベントだわ
今年もJAZZ AUDITORIA 2017 in WATERRASってのが開催されてた。 テーマはジャズに親しむ3日間。4月の28,29,30日。ちなみに、4月30日は国際ジャズデーだ。世界の各地でジャズイベントをしてる。ライブ配信とかもしてて楽しい。そして世間ではゴールデンウィークの始まりだ。祝日でハッピーなタイミングにあるこのイベントは野外で入場無料である。しかも来るのは一流アーティストばかり。素晴らしいイベントだよ。無料で野外というのも手伝ってか家族が多いのも良いよね、こういうのでジャズってカッコイイなあって子供達が思ってくれたら良いのだけど。ちなみに管理人もいました。外でいい音楽聴きながら飲むビールってほんと最高。ほんと幸せ。
さて、記事にするのは2日目のトリ、Eric Miyashiroというトランペッターについてだ。名前でわかるとおり、ハーフだ。ハワイ出身らしいよ。彼のライブがやっぱり素晴らしかったので彼のライブ盤『TIMES SQUARE~Live at STB 139~』をとりあげよう。
CDの動画は無いので、ひたすらEMバンドのライブを貼る
超ハイノートヒッター
トランペットっていうのは人によって全然音が違う。 というのもトランペットは唇で音を出してる。 リコーダーみたいに空気が入れば音が鳴るとかではない。唇を震わせないと音が出ない。そして唇の形は人によって違う。となれば人によって音が変わるというのは当然というものだ。どうでも良いけど唇の形は人によって違うってなんかちょっと色気ある表現だね。
あとトランペットってのは人によって出せる限界の高さが違う。唇を速く震わせることができれば高い音が出る。とにかく高い音を出すのは難しい。
そしてエリック・ミヤシロの持ち味はこのハイノートだ。めちゃくちゃ高い音が出せる。これが本当に素晴らしい。空を切るように突き抜ける美しくも力強い音だ。もうこの音だけで満足するほどに素晴らしい。よくトランペットは天使の声と言われる。いや別に天使がラッパ持ってるからとかではなく。高い音というのは上から降り掛かるような錯覚を感じることがあるのだ。自分だけを目掛けて音が降り掛かってくるような気がしてくる。
もちろんハイノート以外も良い。中音域を吹いた時のふくよかで暖かな音色も最高だ。思わずため息が漏れる。もうなんか聴いててウルッと来ることがある。いやほんとに。
エリック・ミヤシロのトランペットっていうのはそういう美しい音だ。何度見ても感動する。いつも日本を代表する素晴らしいバンドメンバーを引き連れてライブをするのだが、結局エリック・ミヤシロがかっこいいっていう感情に支配される。本当に素晴らしい。
このライブ盤が本当に最高
やるのはビッグバンドジャズだ。吹奏楽部の凄いバージョン。凄すぎて一緒にすると怒られるくらい凄いやつ。日本で一番凄い吹奏楽。
エリック・ミヤシロ・バンド、略してEMバンドと言う名前でライブをすることが多い。とりあえず今回の作品の参加メンバーを観てみよう。
エリック ミヤシロ (Tp)
Drums:岩瀬 立飛
Bass:村上 聖
Pf:林 正樹
Key:新澤 健一郎
Tp:西村 浩二、木幡 光邦、佐々木 史郎、小林 正弘、佐久間 勲
Tb:中川 英二郎、佐野 聡、松本 治、清岡 太郎、山城 純子
Saxphone:佐藤 達哉、鈴木 明男、近藤 和彦、黒葛野 敦司、宮本 大路
うっわ、超豪華。本当にトップミュージシャンしかいない。吹奏楽部が泣いて喜ぶ布陣。完全に僕の考えたドリームチーム状態。ビッグバンドジャズの各パートの上手い人を集めたらこうなる。悔しいことにほとんどがジャズ系だから例を出そうにも伝わりにくい。ちなみに、ブルーノート・オールスターのメンバーも似たような名前が並んでる。結局は日本のオールスターだ。
本作はこの豪華メンバーでのライブを録音した作品だ。躍動感とエネルギーが最高。他のスタジオ録音に比べるとライブ録音なので精細さでは劣るのだが、その熱量で全て解決している。会場の盛り上がりとかも伝わってくる臨場感抜群の作品だ。かといってもちろん勢いだけではない。ゆったりとしたテンポでも美しい。ホール全体に広がる美しいハーモニーに包まれるかのような錯覚に陥る。ちなみに、スタジオ盤には劣ると書いたが、そこらのライブ録音よりは遥かに音質が良い。耳の肥えたジャズのオーディオオタク達も満足する音だと約束しよう。
ビッグバンドジャズなので各パートのソロがある。もちろんリーダーのエリック・ミヤシロもソロを取るが、他の楽器もソロを取る。で、ここまでスターが集まると誰がソロ取ってもカッコイイ。後ろの演奏が金管しかないしコード進行もリズムも似たような展開が多いビッグバンドジャズで、個性的でかっこよく、長い尺で聴かせられるソロが取れるってそれだけでも恐ろしい技術だ。ほんとに化物しかいない。誰のソロでも凄すぎて頬が緩む。あまりに凄すぎて初めて聴いた時に声出して笑ったのを覚えてる。
それでもエリック・ミヤシロが一番美味しいとこを持っていったりするところも最高だ。散々他の人を褒めたけど、この男は本当に只者じゃない。他の人が物凄いソロを吹いた後でも、一瞬で自分がヒーローに躍り出る。あなたが最高です浮気してすいませんでしたぐらいの気持ちになる。
こういう面白いことしてたりもする、やけに雄大で良い人そうなロッキー
刹那的なエネルギーの傑作
ビッグバンドの躍動感、面白さ、一体感。そうした醍醐味と呼ばれる要素が全て詰まった作品だ。吹奏楽経験者はよっぽどのトラウマを植え付けられていない限り間違いなく好き。こんなにも充実した作品はない。文句の付けようがない。
もちろん他のスタジオ録音も素晴らしい作品だ。ただ、こういう豪華なメンバーが揃ってやるライブに是非行ってみて欲しい。本当に楽しい。物凄くハッピーな気持ちになる。その疑似体験ができるというのもあってこのライブ盤を強く勧めたい。そして興味を持ったら行って欲しい。結構な頻度でライブしてるから。ちょっと遊びに行こうくらいのテンションで行っても絶対楽しい。
是非聴いて、そしてライブに行ってみて欲しい。