CD Essay

好きなアルバムを1枚取り上げて語れるだけ語るブログ

ブルガリアが生んだリズムの歌姫、Ruth Koleva

Ruth

 

ブルガリア発、世界基準

ここでしか取り上げないようなアルバムを紹介しよう。
ブルガリアという土地に馴染みはあるだろうか。ちなみに管理人はない。ヨーグルトしか知らない。ヨーロッパの東の方らしい。
そんなブルガリア発のクロスオーバージャズの歌姫、Ruth Koleva (ルス・コレヴァ)を取り上げよう。今回は彼女の2ndアルバムであり出世作である2013年の名盤、『RUTH』についてだ。
 
 

ブルガリアが生んだ奇跡

Wikipediaは母国のブルガリア語しかない。ブラウザの翻訳機能を使ってブルガリア語から英語に変換すればなんとか読める文章になるので気になる人はどうぞ。

 Рут Колева – Уикипедия

まずブルガリアの人が有名になるってので充分すごい。才能の有無は文化人口に比例する。ブルガリアのような人口の少ない国では才能のある人が生まれにくいし、メジャーにもなりにくい。と思って調べたら人口750万人らしい。だいたい愛知ぐらい、と言われると思ったよりは多いが、一国としてはやはり少ない部類だ。
エンタメ小国からスターが出るというのは大変な事態である。まして日本みたいに独自文化をひた走っているわけでもないのに有名になるのは並大抵のことではない。ちなみに管理人はブルガリア出身の有名人は琴欧洲しか知らなかった。
 
さて、ルス・コレヴァについてだが。
1990年生まれの26歳。まだまだ若い。調べて知ったのだが、この人の父親はオリンピックの重量挙げで銅メダル獲った人らしい。しかも双子の兄弟がいてスノーボードのプロとも書いてある。そんな筋肉一家なのにルスは9歳でステージに立って歌ってたらしい。突然変異である。
彼女が有名になったのは『Music Idol』というブルガリアオーディション番組である。そこで才能を認められて、あっという間に世界デビューなのだから世界が欲した才能という感じがする。
ジャンルだとクロスオーバーソウルとかフューチャーソウルとか呼ばれているやつだ。要はおしゃれな歌モノの感じだ。旧来のアクの強い黒人的なソウルではなく聴きやすくポップなのが特色だろう。最近だと Hiatus Kaiyote Moonchild あたりが頭角を表している注目のジャンルである。
 
 

リズム感の鬼

まず、声が良い。持って生まれた天性の声である。
囁くような張り上げない歌い方で癒やしを与えつつも説得力がある。いわゆるウィスパーボイスだが、にしては力がある。技術的にも申し分なく上手い。しかも可愛いらしい。個人的にこのタイプの声は特に日本人受けする気がする。シティポップとかの歌い方に近く馴染みがある人が多いのではないだろうか。例を出すならカヒミ・カリィとか安藤裕子あたりに親近感を覚える声だ。非常に魅力的な声をしている。
 
しかし、今回語るべきはドラムである。
一聴すると何が起きてるか分からない。拍の取り方が奇妙奇天烈すぎる。このドラムはイギリスが生んだ変態ドラマー、Richard Spaven である。全曲で参加しているのだが常に凄まじい。上手いなんてレベルじゃない。フレーズが新し過ぎる。綺麗に4拍なり8拍取らせる気がない。難解過ぎるのに曲に合ってるのはもはや魔法の域である。技術的にハイレベル過ぎて機械でなかろうかとも思う。でも、そもそもこんなビートは思い付かないから機械ですら打てない。もちろん本人は生のドラムを叩いているのだから完全に理解の境地を超えているのである。
この変態ドラムにしっかり拍を乗せて歌い切るルス自身も凄まじい。リズムの鬼としか言いようがない。普通の人はこの演奏を渡されて歌えと言われても無理だ。目立たないが物凄くハイレベルなことをしている。
 
 

どう考えても名盤

リズム中毒者は是非聞いて欲しい。声とドラムばかりに注目してしまったが、他のパートも物凄く練られており、正直こんな才能が眠っていたとはという驚きを感じる。歌モノでここまでリズムが楽しいアルバムは珍しい。本当に新鮮だしルスの魅力に溢れている。
嬉しいことに親日家らしく先日も来日ライブをし、『TOKYO』という新曲をリリースしている。願わくば良いメンバーを揃えて来日して欲しいものだ。
いずれにせよ恐ろしい才能である。
 
Ruth

Ruth

 

 

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