CD Essay

好きなアルバムを1枚取り上げて語れるだけ語るブログ

ロックの殿堂に選ばれたのを機にElectric Light Orchestraの隠れた名盤『Eldorado』を聴いていほしい

Eldorado

 

祝・ロックの殿堂入り

Eldorado - Spotify

ロックの殿堂の授賞式があった。今年も恒例のスーパーバンドを組んでのお祭り騒ぎだったらしい。

ロックの殿堂って誰が得するのかと思う人もいるけど、あれはみんなで懐かしんだりこんな凄いアーティストがいたんだと知らしめるためだ。別に大した意味はないが、こうして登録しておけば少なくとも一定の評価を得たのだと分かるからこれからの若い世代のためになる。というのがロックの殿堂の賢い使い方だと思う。全然ロックじゃねえけど。もう2Pacとか入っちゃったもんな。せめて名前は変えた方が良い気がするけど最初にそういう名前にしちゃったからもう変えられないんだろうな。

ということで、今回は無事受賞を果たしたELOことElectric Light Orchestraにしよう。どのアルバムにしようか悩んだんだが、ここは大ヒット作『Discovery』ではなく、1974年の隠れた名盤『Eldorado』にしよう。

 

www.youtube.com

授賞式でのライブの様子。良い。 

 

ロック meets オーケストラ

エレクトリック・ライト・オーケストラ - Wikipedia

このバンドほど名が体を表しているバンドはいない。エレクトリックでライトなオーケストラだ。エレキギターが鳴る軽音楽でありながらオーケストラなのだ。というのもメンバーにチェロとヴァイオリンがいる。まあ残念ながら後に脱退してしまうのだが。

しかし、このパートがいたというのがアイデンティティだった。オーケストラがバンドのレコーディングに参加するというのはそれまでにもあったのだが、メンバーにいてしっかりヴァイオリンが前に出てくるのは初だ。

リーダーは Jeff Lynne(ジェフ・リン)だ。現在は完全にこの人のソロになっている。驚くべきことにこの人、全パート自分で弾けるスーパーマンだったりする。最新アルバムはJeff Lynne's Electric Light Orchestraって名前になってしまっているのだが、まじで全曲の全パートをジェフ・リンが弾いてる。弾いてないのはエンジニアが後日入れたシェイカーとタンバリンだけ。たぶん事前に入れるって決めてたらそれも自分でやってただろ。化物かよ。

このなんでもできる男がいるからこその視野の広さなのだろう。オーケストラやシンセとバンドサウンドを合わせるのがべらぼうに上手い。バランス感覚が非常に良い。この時代として新しいのはもちろんだが、今の時代でもこの形態でこのクオリティの高さを誇るのは珍しいだろう。

 

www.youtube.com

 

絵本の世界をそのまま音にした

エルドラド (アルバム) - Wikipedia

さて、『Eldorado』についてだ。

ELOの初期の作品でありながら大規模なオーケストラを初めて使った作品である。かつ、このアルバムはコンセプトアルバムになっている。エルドラドとは舞台となる仮想の国の名前だ。ちなみにジャケットはオズの魔法使いのワンシーンである。

英語が分からなくてもこのジャケのイメージがそのまま音になっている感じを想像してもらうといい。キラキラでありながら壮大で不思議でわくわくする。かと言って決して分かりにくいということはなくポップにまとまっている。

そう、まさに絵本の世界。コンセプトアルバムとしての完成度の高さは凄まじい。

この絵本の世界を作っているのはやはりオーケストラの力だろう。メンバーに加えて更に大規模なオーケストラ編成が加わっている。このオーケストラがあまりロックらしくないのがポイントだろう。オーケストラだけ切り抜くとむしろクラシックの演奏に近い。もちろん他のパートも申し分ない。オーケストラとあまり共存するイメージのないバンド編成がしっかりと存在感を出している。

アルバムの構成として度々テーマに戻るのがまた良い。最後のフィナーレなんて最高だ。

 

www.youtube.com

 

最もELOらしい作品

ELOと言えば『Discovery』や『Time』だろう。オーケストラを含めたシンセサウンドを駆使した上で当時80年代の流行りだったディスコサウンドを取り入れた作品である。よりポップで踊れる作品に仕上がっている。正直最後までどのアルバムについて書くか考えた。どのアルバムも文句の付けようがない名作だ

しかし、管理人としてはこの隠れた名盤を推したい。ELOはこのアルバムで世界的に知られるようになったのだ。この作品こそELOらしく、かつ才能に溢れた作品だと思った。

まだ聴いたことがなかったらこの機会に是非、この不思議な絵本の世界の音を感じて欲しい。