唯一無二の独特過ぎる美メロハードロック Dizzy Mizz Lizzy
デンマークの伝説
今から23年前の1994年、ひっそりとデンマークのロックバンドが人気を博した。3人組のオルタナティブハードロックバンド、Dizzy Mizz Lizzy である。
ちなみにデンマークは世界幸福度ランキング第2位だ。2016年までは1位だったが2017年版ではノルウェーに抜かれている。なお日本は51位だ。悲しい。
今回は彼らのデビュー作『Dizzy Mizz Lizzy』を思い返そう。
1994年ってどんな年?
1994年というのは篠原涼子が歌ってた頃だ。『愛しさと せつなさと 心強さと』である。まだアンフェアとか言ってない。あとミスチルがイノセントワールドを出してバリバリ売れまくってた時だ。今も売れまくってる、すげえな。
海外だと Nirvana や Pearl Jam を筆頭とするグランジブーム真っ只中だ。Red Hot Chili Peppers や Radiohead、Smashing Pumpkins もいるからオルタナ全盛期とも言える。ちなみに、人気絶頂だったこの年にカート・コバーンが亡くなっている。oasis がデビューして blur に火が付いてきた頃なのでブリットポップが始まりそうな予感を見せていたぐらいだ。
さて、そのタイミングでブームになったのが Dizzy Mizz Lizzy である。ジャンルとしてはハードロック系のオルタナである。多くのバンドが生まれては消えていた時代に彼らは我々の心を鷲づかみにしたのである。
悲哀と熱情
彼らがひとつ飛び抜けた理由として、美メロだ。バンド名である Dizzy Mizz Lizzy というのは Beatles の曲『Dizzy Miss Lizzy』から拝借している。というわけでビートルズ譲りの誰もが歌える系の美メロである。ライブだとまじでみんなで歌う。日本人ですら歌える程度には覚えやすくて分かりやすい歌詞というのも魅力だ。メロディと歌詞の譜割りに違和感がない。このあたりが日本人ウケしたところだろうか。
しかし、ただの美メロなら辺境のデンマーク出身バンドが日本でライブするなんてことにはならないし、管理人がわざわざ取り上げない。
まず演奏陣がハードロックである。まあ現代と比べるとだいぶ軽やかなのだが、それでも結構なハードロックである。ちなみにチューニングは常に1音下げである。知らずにコピーしようとすると音が無かったりやたら弾きにくいことになる。
そして変拍子である。拍が飛び出したり足らなかったり、むちゃくちゃ。お前どこで拍取ってんだ、みたいなフレーズの嵐。それでも覚えやすいから天才かってなる。
当然それができるだけの技量がある。これだけ変拍子を突っ込んでおきながら、めちゃくちゃタイトな演奏には舌を巻く。ライブですらちょっとずつズレて輪郭がぼやけるなんてことは一切ない。ちなみにライブだとアドリブでメンバーが遊び倒す時間があるのだが3人とも上手すぎて笑えてくる。
Dizzy Mizz Lizzy - Silverflame
再結成も果たしたことだし、楽しみ
全盛期に2枚出して解散したが、去年見事に再結成して新作を1枚出した。年々ハードになってる傾向があるがやはり Dizzy Mizz Lizzy らしさは失われてない。相変わらず上手い。解散期間中、ドラムの人はトラックの運転手をしていたらしいが全く衰えていなくて安心した。
この独自の世界は唯一無二だ。
またこの世界に浸れる楽しさを味わおうと思う。